つぶやき

今週のお題を淡々と更新するブログです

もう足音は聞こえない

実家に住んでいたころ、割り当てられた子ども部屋は六畳間の和室だった。襖で区切られてはいたけれど姉と一続きの部屋で、かつベランダへ行く手段は私の部屋からしかなかった。ので、毎日のように母が洗濯物を干しに入ってくる。うーんプライバシーってなんなんだろうなという感じだった。

姉と一続きなのは決して嫌ではなく、むしろ尋常ではない仲の良さなので、毎日深夜に二人で好きな音楽の話や気になるできごと、仕事先やバイト先の愚痴などを語り合っていた。が、姉妹と母は折り合いが悪く、かつ、姉妹が仲良くしていることに対してあまり良く思っていなかったようで、AM2時ごろに階段を上がって、二人が寝ているかを確認してくる。安普請の実家は階段を上がるとミシ、ミシ、と音がする。その音が近付くと二人は慌てて電気を消して、さも寝ているかのように振る舞う。この母娘による攻防は姉が実家を出るまで続いた。

思えば、ゴミ箱を漁ってきたり、最寄り駅まで自転車で行くことを許されなかったり、風呂に入ったかと毎日確認してきたりと20歳そこそこの娘たちへの干渉はややいきすぎたものであったし、それにより、どんどん関係はマイナスな方向へ進んでいった気がする。

姉が実家を出てしばらくし、私も就職に伴い家を出た。最初は会社の寮、数年後に退寮し、一人で暮らし始めた。ずっと誰かに手厚く保護され暮らしてきたから、もしかするとこのとき初めて実家の母への感謝の気持ちだとか、そういうのがわいてくるのかな、とうすらぼんやり思っていたけど、結論としてはああ干渉されない、見張られないって何て楽なんだろうと思うばかりだった(もちろん大前提として、育ててくれたことには感謝をしているし、そこを無視して嫌だ嫌だと言いたいわけではないです)。排水口の掃除の仕方だとか、公共料金の払い方だとか、たしかにそういうのは知らなくて、実家にいたころは全てやってくれていた。けど、それ以上にミシ、ミシ、と近付く足音に怯えていたし、神経が擦り切れていたんだなと改めて感じた。行動が縛られる、見られている、というのは、多分自覚している以上に疲れる。

顔を合わせば嫌悪、みたいな母娘の関係は、姉妹共に実家から距離ができてややも改善したと思う。人によっては物理的に距離を置く方が、その後良い関係を築けるし、お互いのためになると思う。

例えばもし、いつか、他人と暮らしていく人生を選ぶとしても、足音を気にしないでいいような、そんな関係だといいな、と思う。

そして今年から姉と6年ぶりに一つ屋根の下で二人暮らしを始めるので、今からズボラな生活習慣で嫌われないか不安でいっぱい!


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